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Molecular Biology and Evolution 掲載

  • tsuyoshishimmura
  • 12 時間前
  • 読了時間: 3分

更新日:4 分前

攻撃的に戦うか防御しながら戦うかを決める 闘争戦略のメカニズムを解明した論文がMolecular Biology and Evolutionに掲載されました。集団ゲノミクス、トランスクリプトミクス、行動薬理試験を駆使して、複雑な社会行動のパターンがどのように進化するのかの一端を解明し、古典的ゲーム理論に対する実験的証拠を初めて示しました。


論文URL:


ここでは、研究の経緯や物語的なところを記載してみたいと思います。この研究は、PIとなって常々やりたいと思っていた問題行動(共喰い等)の遺伝基盤の研究に着手するにあたり、GWASは動物だと難しいので、集団ゲノミクスを適用しようと考えたところから始まります。そのため、表現型が極端に違う集団を見つける必要があり、以前は闘鶏で使われていた攻撃性が極端に高い軍鶏(シャモ)に焦点を当てました。


軍鶏について探る中、つつきと蹴りを繰り出す攻撃型の集団と、ボクシングのクリンチのように相手を抑え込んで攻撃させない防御型の集団がいることを見つけます。ニワトリの中のたった1品種の中に攻撃パターンが異なる集団がいる…これは集団ゲノミクスを適用するのに最適な集団です。また、攻撃パターンは未解明のテーマでもありました。のちに、この集団が、John Maynard Smithが唱えたゲーム理論(タカハトゲーム)の実験的モデルになることに気づきます。


まずDNA-seqを実施しました。しかし、ゲノム解析の技術は全くありません。そこで必殺技の1つである突撃訪問を繰り出します。論文に感銘を受けていた集団ゲノミクスの世界的権威Leif Anderssonラボに短期留学し、一気にゲノム解析を進めました。プロ達がマンハッタンプロットを見てPromisingだと口々に言ってくれたことで自信を持ちます。


次にRNA-seqデータが出てきたところで研究が停滞します。DNA-seqとRNA-seqの統合解析で得られた候補遺伝子を眺めても仮説が浮かびません。試しに、それらの組み合わせで考えていったところ、FOXP1の制御下でPPP1R1Bが動くことに気づきました。奇跡的にそれを明確に示す論文がちょうど発表されていて仮説に確信を持ちました。


仮説の立証として、行動薬理試験を行って、確かに攻撃パターンが予想通り変わることを確認して論文の結びとなりました。ゲノムから行動までをつないでいくような、ひとまずやりたいと思っていたものが形となって良かったです。ラボメンバーと共同研究者の皆さまに感謝です。


反省点としては、材料から問いを考えたところ(本当は逆)、立証実験が不十分であることなど色々とありますが、今はそれを乗り越えるべく新たな実験系にも挑戦しています。私達の今後の研究展開にもぜひご期待ください。


 
 
 

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